この記事でわかること
- 介護が必要になったときに最初にすべき手続きの流れ
- 介護保険の申請方法と認定が出るまでの期間
- 申請と並行して使える給付金・補助金の種類
- 費用を抑えるための制度活用術
突然「親の介護が必要かもしれない」という場面に直面すると、何から手をつければいいかわからず戸惑う方がほとんどです。この記事では、介護が始まったときに最初にやるべき7つのステップを、使える補助金・給付金の情報と合わせて解説します。
ステップ1:まず「地域包括支援センター」に相談する
介護に関する相談窓口として、全国の市区町村に設置されているのが地域包括支援センターです。介護保険の申請代行・ケアマネジャーの紹介・介護に関する情報提供などを無料で行っています。
地域包括支援センターでできること
・介護保険の申請手続きのサポート
・要介護認定の申請代行
・サービスの情報提供・相談受付
・虐待防止・権利擁護
・ケアマネジャーの紹介
自宅近くのセンターは、市区町村の役所窓口またはウェブサイトで検索できます。「○○市 地域包括支援センター」で検索してください。
ステップ2:介護保険の要介護認定を申請する
介護保険サービスを利用するには、まず要介護認定を受ける必要があります。認定を受けることで、訪問介護・デイサービス・特別養護老人ホームへの入居など、費用の1〜3割負担でさまざまなサービスが使えるようになります。
申請の流れ
- 市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターへ申請書を提出
- 市区町村の担当者による訪問調査(約1時間)
- 主治医の意見書を取得(市区町村が依頼)
- 介護認定審査会での審査・判定
- 認定結果の通知(申請から約30日)
申請から認定まで約30日かかります。認定が出る前でも「暫定利用」でサービスを先行利用できる場合があります。急ぎの場合は担当窓口に相談してください。
要介護度と使えるサービスの目安
| 認定区分 | 状態の目安 | 月の支給限度額 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 日常生活の一部に支援が必要 | 約50,320円 |
| 要支援2 | 日常生活の一部に支援が必要(要支援1より状態重い) | 約105,310円 |
| 要介護1 | 立ち上がり・歩行が不安定、認知機能低下あり | 約167,650円 |
| 要介護2 | 歩行や日常動作に介助が必要 | 約197,050円 |
| 要介護3 | 排泄・食事・入浴に全面的な介助が必要 | 約270,480円 |
| 要介護4 | 日常生活全般に全面的な介助が必要 | 約309,380円 |
| 要介護5 | 意思疎通が困難で全介助が必要 | 約362,170円 |
上記の支給限度額の範囲内でサービスを利用すれば、1〜3割の自己負担で済みます。
ステップ3:ケアマネジャーを選ぶ
要介護1〜5の認定を受けたら、ケアマネジャー(介護支援専門員)を選びます。ケアマネジャーはケアプランの作成・介護サービスの調整・給付管理を担当する専門家で、利用者の費用負担はありません(介護保険から全額給付)。
ケアマネジャーの選び方のポイント
・地域包括支援センターに紹介してもらう
・自宅近くの居宅介護支援事業所を検索する
・担当者との相性・コミュニケーションのしやすさを重視する
・途中での変更も可能なため、合わないと感じたら遠慮なく相談する
ステップ4:負担軽減制度を申請する
介護サービスの費用が高額になる場合、利用できる負担軽減制度があります。
高額介護サービス費
同じ月に支払った介護サービスの自己負担額が上限を超えた場合、超過分が払い戻されます。上限額は所得によって異なり、一般的な方は月44,400円が上限です。
介護保険負担限度額認定証(特定入所者介護サービス費)
施設サービス(特養・老健など)の食費・居住費を軽減する制度です。所得・資産が一定以下の方が対象で、申請すると「負担限度額認定証」が交付されます。年間数十万円の節約になるケースもあります。
高額医療・高額介護合算制度
医療費と介護費の両方が高額な世帯向けの制度。1年間の医療費と介護費の自己負担合計が限度額を超えた場合に払い戻しを受けられます。
ステップ5:住宅改修の補助金を申請する
要介護・要支援の認定を受けた方が自宅で安全に生活できるよう、住宅改修費の補助が受けられます。
介護保険住宅改修費(最大18万円給付)
手すりの設置・段差解消・滑り止め床材への変更・引き戸への交換などの改修費用について、上限20万円まで9割(一般の方)が介護保険から給付されます。実質自己負担は最大2万円。
注意:住宅改修は工事前に申請が必要です。工事後の申請では給付を受けられない場合があります。必ずケアマネジャーか市区町村窓口に事前相談を。
ステップ6:福祉用具の貸与・購入補助を活用する
介護保険では福祉用具の貸与(レンタル)が1〜3割の自己負担で利用できます。車いす・介護ベッド・歩行補助具・移動用リフトなどが対象です。
また、ポータブルトイレ・入浴補助用具・簡易浴槽などは福祉用具購入費として年間10万円を上限に9割給付されます(一般の方)。
ステップ7:家族の介護負担を軽減する制度を使う
介護をする家族(介護者)向けの支援制度も忘れずに確認してください。
介護休業給付金(雇用保険)
家族を介護するために仕事を休んだ場合、雇用保険から休業前賃金の67%が支給されます。対象家族1人につき通算93日(3回まで分割可)まで利用可能。
介護者向け地域支援事業(市区町村)
多くの市区町村が「家族介護教室」「介護者交流会」「レスパイトサービス(一時的な介護代替)」などを無料または低コストで提供しています。地域包括支援センターに確認してみてください。
まとめ:介護開始時のやることリスト
- ① 地域包括支援センターに相談する
- ② 要介護認定を申請する(30日かかるので早めに)
- ③ ケアマネジャーを選ぶ
- ④ 高額介護サービス費・負担限度額認定証を申請する
- ⑤ 住宅改修が必要なら事前申請する
- ⑥ 福祉用具の貸与・購入を活用する
- ⑦ 仕事と介護を両立するための制度を確認する
介護は長期戦です。一人で抱え込まず、利用できる制度を最大限に活用しながら、本人も家族も無理のない介護体制を整えていきましょう。不安なことがあれば、まず地域包括支援センターに相談するのが一番の近道です。