「仕事を続けながら親の介護をしなければならない」——そんな状況に直面したとき、多くの方が経済的な不安を抱えます。しかし、雇用保険には介護休業給付金という心強い制度があります。

介護休業給付金を使えば、介護のために仕事を休んでいる期間も給与の最大67%を受け取ることができます。本記事では、2026年現在の支給条件・受給額・申請方法を、初めて介護休業を取得する方にもわかりやすく解説します。

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介護休業給付金とは?基本的な仕組みをわかりやすく解説

介護休業給付金は、雇用保険制度の一つで、家族を介護するために介護休業を取得した労働者に対して支給される給付金です。厚生労働省が管轄するハローワーク(公共職業安定所)を通じて支給されます。

日本では「介護離職」が年間約10万人に上ると言われており、仕事を辞めずに介護休業を取得できるよう設けられた制度です。給与の67%が最大93日間支給されるため、収入を一定程度確保しながら介護に専念できます。

2026年現在も支給率・日数に変更はなく、制度の基本的な仕組みは維持されています。ただし、支給上限額は毎年8月に見直されるため、最新情報はハローワークで確認しましょう。

介護休業・介護休暇との違い

介護関連の休暇・休業制度は複数あるため、混同しがちです。以下の表で違いを整理します。

制度名 取得日数 給付金 主な用途
介護休業 通算93日(最大3回分割) あり(給与の67%) 介護体制の構築・長期的な介護
介護休暇 年5日(対象家族複数は10日) なし(会社による) 急な介護・通院の付き添いなど
有給休暇 年10〜20日 給与全額 目的自由

介護休業は1人の対象家族につき通算93日まで取得でき、この期間に介護休業給付金が支給されます。介護休暇(年間5〜10日)は別の制度で、多くの場合は無給です。急なスポット対応には介護休暇、中長期的な介護体制の整備には介護休業、と使い分けることが基本戦略です。

給付金が支給されるまでの流れ

介護休業給付金は、労働者が直接ハローワークに申請するのではなく、会社(事業主)を経由して申請する仕組みです。流れは以下のとおりです。

  1. 会社に介護休業の申し出をする(休業開始の2週間前までが原則)
  2. 介護休業を取得する
  3. 介護休業終了後、会社が申請書類を作成
  4. 会社がハローワークに申請書類を提出
  5. ハローワークが審査・支給決定
  6. 労働者の口座に振り込み(通常2〜3週間程度)

支給条件・対象者をわかりやすく解説

介護休業給付金を受け取るためには、以下の条件を全て満たす必要があります。

4つの支給要件

  1. 雇用保険の被保険者であること
    雇用保険に加入している労働者が対象です。正社員だけでなく、パート・アルバイトも要件を満たせば加入できます。自営業者・個人事業主・公務員(共済組合加入者)は対象外です。
  2. 介護休業開始前の2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること
    転職直後の場合、前職の雇用保険加入期間も通算できます(離職から1年以内に転職した場合)。
  3. 対象家族を介護するための介護休業を取得していること
    育児・介護休業法に基づいて正式に申し出た介護休業である必要があります。
  4. 介護休業中に就労した日数が10日以下であること
    支給単位期間(原則1ヶ月)内に10日を超えて働いた場合、その期間は給付金が支給されません。副業・在宅ワークも含みます。

「対象家族」の範囲

介護休業の対象となる家族の範囲は以下のとおりです。同居・扶養の有無は問いません

続柄 対象 備考
配偶者(事実婚を含む) 事実婚も対象
父母(養父母を含む) 養父母も含む
子(養子を含む) 養子・継子も含む
祖父母 別居でも対象
兄弟姉妹 別居でも対象
別居でも対象
配偶者の父母(義父母) 同居不要

離れて暮らす親の介護であっても、上記の続柄であれば対象になります。

「要介護状態」の定義

育児・介護休業法における「要介護状態」は、介護保険法の要介護認定とは異なります。具体的には次の状態を指します。

  • 負傷・疾病・身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態

つまり、介護保険の要介護認定(要介護1〜5・要支援)を受けていなくても、医師の診断書等で要介護状態を証明できれば介護休業を取得できます。ただし、認定を受けている場合は書類準備がスムーズです。

受給額の計算方法【月給別シミュレーション付き】

介護休業給付金の支給額は、休業前の賃金を基に計算されます。

支給額の計算式

支給額の計算式は次のとおりです。

支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

「休業開始時賃金日額」の計算式:
介護休業開始前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180

賃金には通常の給与・残業代・住宅手当などが含まれますが、賞与(ボーナス)は含まれません。

月給別の受給額シミュレーション(2026年版)

月給(税込) 賃金日額(概算) 30日休業の給付金 93日全取得の給付金合計
月収20万円 約3,333円 約67,000円 約207,800円
月収30万円 約5,000円 約100,500円 約311,550円
月収40万円 約6,667円 約134,000円 約415,400円
月収50万円 約8,333円 約167,500円 約519,100円
月収60万円 約10,000円 約201,000円 約623,100円

※上記はあくまで目安です。実際の支給額は賃金構成・休業日数・支給上限額によって異なります。

支給上限・下限・減額ルール(2026年度)

支給額に関する重要なルールを確認しましょう。

  • 上限額:賃金日額の上限が設定されており、月収が高くても給付金には上限があります(毎年8月に改定)。2026年度の詳細はハローワークにご確認ください。
  • 減額ルール:介護休業中に会社から賃金が支払われている場合、休業前賃金の13%超〜80%未満の賃金を受け取っていると給付金が減額されます。80%以上の賃金が支払われると不支給となります。
  • 非課税:介護休業給付金は所得税・住民税の課税対象外です。確定申告は不要です。

申請の流れ・必要書類を徹底解説

介護休業給付金の申請は事業主(会社)がハローワークに行います。会社によっては、申請書類の一部を労働者本人が準備する必要があります。

申請期限:休業終了後2ヶ月以内

介護休業終了日(介護休業を複数回取得した場合は各終了日)から2ヶ月以内に申請しなければなりません。この期限を過ぎると原則として受給できなくなります。

会社によっては申請手続きが遅れることがあるため、休業終了後は早めに人事・総務担当者に申請状況を確認しましょう。

必要書類一覧

書類名 準備者 備考
介護休業給付金支給申請書 事業主 ハローワーク所定の様式(初回・毎回)
雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 事業主 初回申請時のみ必要
介護休業の申出・取得を確認できる書類 事業主 介護休業申出書の写しなど
対象家族が要介護状態であることを示す書類 労働者 介護保険被保険者証・要介護認定証・医師の診断書 のいずれか
賃金台帳・出勤簿の写し 事業主 休業中の出勤状況確認用

ステップ別の申請手順

  1. 会社の人事・総務担当に介護休業取得の意向を相談
    介護休業は育児・介護休業法で保障された権利です。事業主は正当な理由なく拒否できません。
  2. 書面で介護休業の申し出を行う(開始2週間前まで)
    申出書には休業開始日・終了日・対象家族の情報などを記載します。会社所定の書式がある場合はそれを使用します。
  3. 要介護状態を証明する書類を会社に提出
    要介護認定証がある場合はそのコピーを提出。認定を受けていない場合は医師の診断書を準備します。
  4. 介護休業を取得する
    休業中に就業(副業含む)する場合は、10日以下に抑えましょう。
  5. 休業終了後、会社が申請書類をハローワークに提出
    会社が申請書を作成し、休業終了から2ヶ月以内に管轄のハローワークへ提出します。
  6. ハローワークの審査を経て、口座に振り込まれる
    通常、書類受理から2〜3週間程度で支給されます。

「手続きが不安」「どこに相談すればいいかわからない」という方は、補助金・給付金の検索ページから専門家への相談もできます。

介護休業給付金を最大活用する3つのコツ

コツ1:93日を3回に分割して状況に合わせて使う

介護休業は同一の対象家族につき3回に分割して取得できます(合計93日以内)。分割制度を活用することで、介護の状況変化に合わせた柔軟な対応が可能になります。

活用例:

  • 第1回(例:30日)——入院・手術直後の集中サポート期間
  • 第2回(例:30日)——退院後の在宅介護体制の構築、ケアマネジャーとの調整
  • 第3回(例:33日)——容態急変時・看取り前後のそばにいるための時間

一度に全日数を使い切るよりも、状況に応じて計画的に分割することが長期的な仕事と介護の両立につながります。

コツ2:他の介護支援制度と組み合わせる

介護休業給付金と合わせて利用できる支援制度があります。

  • 高額介護サービス費:月々の介護サービス利用料が自己負担上限を超えた分が払い戻される
  • 介護保険負担限度額認定:施設入所時の食費・居住費が所得に応じて減額される
  • 介護リフォーム補助金(住宅改修費):要介護認定者の自宅改修に最大20万円
  • 家族介護慰労金:在宅で介護する家族に市区町村が支給する慰労金(自治体により異なる)
  • 介護用品給付・貸与:紙おむつ・特殊寝台などの給付・貸与(自治体により異なる)

自分が受けられる制度を一括確認したい方は、介護・福祉の補助金一覧をご覧ください。

コツ3:「介護離職」の前に必ず制度を確認する

介護を理由に仕事を辞める「介護離職」は、収入面・老後の年金面でも大きなリスクを抱えます。介護休業給付金や柔軟な勤務制度(短時間勤務・フレックス)を活用することで、退職せずに介護と仕事を両立できる場合がほとんどです。

また、育児・介護休業法では、介護を理由とした解雇・降格・不利益取扱いは禁止されています。もし職場でのハラスメント(ケアハラスメント)に悩んでいる場合は、都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」に無料で相談できます。

よくある質問(FAQ)

Q1. パートやアルバイトでも介護休業給付金はもらえますか?

雇用保険に加入していれば、パート・アルバイトでも受給できます。雇用保険への加入要件は「週20時間以上の勤務かつ31日以上の雇用見込みがある」ことです。また、休業開始前の2年間に12ヶ月以上の被保険者期間も必要です。まずは会社に雇用保険への加入状況を確認してみましょう。

Q2. 介護休業は何回・何日まで取れますか?

同一の対象家族につき通算93日・最大3回まで取得できます。異なる家族(例:父と母それぞれ)については、それぞれ93日ずつ取得可能です。なお、93日を超える部分については給付金の対象外となります。介護休暇(年5〜10日)と組み合わせることで、より柔軟な対応が可能です。

Q3. 介護休業中に副業や在宅ワークをしてもいいですか?

就業規則で副業が認められていれば可能ですが、就業した日数が支給単位期間(原則1ヶ月)の10日を超えると給付金が支給されません。また、受け取る賃金が休業前賃金の80%以上になると不支給、13%超〜80%未満では減額されます。副業・在宅ワークを検討している場合は事前に会社と確認しましょう。

Q4. 申請を会社がしてくれない場合はどうすればよいですか?

介護休業給付金の申請義務は事業主(会社)にあります。会社が申請しない・遅れているという場合は、まず担当者に確認しましょう。それでも対応されない場合は、管轄のハローワークに「事業主が申請してくれない」旨を相談することができます。ハローワークが会社に指導を行う場合があります。

Q5. 介護休業給付金の申請を忘れていた場合、さかのぼって申請できますか?

申請期限は介護休業終了日から2ヶ月以内です。この期限を過ぎると原則として受給できなくなります。複数回に分割して取得している場合、各休業の終了日ごとに2ヶ月以内に申請が必要です。期限が近い場合や不安な場合は、早急に会社の人事・総務担当者に確認してください。

まとめ:介護休業給付金で仕事と介護を両立しよう

介護休業給付金は、仕事を持ちながら家族の介護をしている方にとって非常に重要な制度です。ポイントを整理します。

  • 雇用保険加入者ならパート・アルバイトも対象
  • 給与の67%が最大93日支給される
  • 同一家族につき3回に分割して取得可能
  • 申請は会社経由でハローワークに行う
  • 申請期限は休業終了後2ヶ月以内(厳守)
  • 受け取っても非課税(確定申告不要)

介護は突然始まることも多く、制度の存在を知らないまま離職してしまうケースが後を絶ちません。まずは会社の人事担当者と話し合い、介護休業の取得と給付金の受給を検討してみましょう。

介護に関する補助金・給付金は介護休業給付金だけではありません。あなたの状況に合った制度を調べるには、補助金診断ツールを使えば3分で一覧確認できます。また、介護に関する補助金をまとめて見たい方は介護・福祉の補助金一覧もご覧ください。